長編の小説でありながら、弁慶師の生き様と魅力に引き込まれ、一気に読み通しました。
この国の歴史で知られる弁慶師の人生は、断片的にしか残されていませんが、その時代を生きた霊魂からの通信で語られる、弁慶師と弟子達の人生は、私達の知っている歴史と異なるようです。
弁慶師は、かつて、この国に本当に生まれ、僧侶として、武人として、修行の達人として、戦乱の世で苦しむ、この国の人々の救いのために、日本各地を駆け巡り、真剣に命の火を燃やした、日本が生んだ達人でした。
その弁慶師のお姿が、その息遣いも感じられるほどに、鮮やかに蘇ります。
そして、歴史書には決して語られることのなかった、達人の心の中に満ちていた数々の思いが語られます。人々の真の幸せ、真の政治、真の日本の進むべき道、真の修行者の姿、それらが、数多くのドラマとともに語られます。
物語からあふれる、弁慶師の情熱と、心情の深さに、何度も心が震わされました。
これからも、自らの不甲斐なさを戒めるときに、何度も読み返すことと思います。
弁慶師が、先の世に立たれるとき(その姿は、涙を禁じえませんでした…)、何を思って、何を遺されたのか。
真の三種の神器はどこにあって、今、私達は何をすべきなのでしょうか。
そのことを、今を生きる人達に伝えるために、本書は、現代の日本に蘇ったのだと思います。
日本が生んだ真の達人、弁慶師のメッセージを、多くの人に知ってほしいと思いました。
今、大河ドラマでは、同じ鎌倉時代のドラマが放送されています。
当時の人々の姿が、生き生きと描かれています。歴史が好きな人にもおすすめです。