霊的修行者のまわり道日記

一般社団法人契山館の会員のブログです。このブログは個人の理解の範囲で書いており、会の公式な見解ではありません。

ロッキー (8点)

昨日、今の自分にはエネルギーが足りないような気がして、ロッキーを観た。

子どもの頃に何度か観ていたけれど、思ったより良い部分が感じられて、こんな映画だったんだと新鮮な発見があった。三十歳を過ぎて、実績もなく、善人になりきれず、かといって悪人にもなりきれない半端なボクサーの姿が他人事に思えず、我が身に重ねて観ていたので、その見方が、子どもの頃とは変わってしまっていて、印象が随分と違って見えたのかもしれない。

試合後、周囲の現実の喧騒の風景から、すっと人ごみも雑音も消え(試合の結果でさえも雑音となっている)、互いを呼び合う恋人の姿だけが世界に浮かび上がる。その強く求め合う恋人同士の糸が、もどかしくも強く手繰り寄せられ、やがて結ばれ印象的なストップモーションで永遠となる。愛が結晶する瞬間が確かにそこに描かれていた。この恋人の名を叫ぶ有名なラストシーンは、記憶の中ではどこか滑稽なイメージがあったが、真に胸に迫る感動があり、それは何度繰り返して観ても繰り返し訪れた。

鑑賞後、この鬱屈した日常生活から立ち上がって自らの力を証明し、恋人を幸福にした英雄の姿を思い返してみて、思えば自分もかつて、もうおしまいと思えるような最も苦しい状況の中においても、そこで力を抜くことなく、冷静にさらに一歩を踏み出し全力を出し切る、そんな鍛錬を空手の中に見つけていたことを思い出した。あの体験を忘れてはならない。過去の自分の努力を無駄にしてはいけない。そう思った。